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SOUBI®のはなし

はじまりの疑問

好きな服は、捨てるものではない。

服を大切に扱える人は知っている。
本当に良い服とは、流行の中で消えていくものではなく、人生と共に歩みながら、静かに残り続けていくものだということに。    服は、本来捨てられるために作られたものではない。使われ、愛され、時間とともに深まっていくものだ。そしてもし、そんな服が存在するのなら。その服はきっと人生の一部になる。

❝すべては、一枚のTシャツを捨てたくなかったことから始まった。❞

SOUBIとは

SOUBIは、用の美という思想を軸に服を作るブランドです。
用の美とは、生活の中で実際に使われるものが、結果として自然な美しさを持つという考え方です。見せるために作られたものではなく、使うために作られたものが、使われ続けることで静かに美しさを帯びていく。

それは日本の生活文化の中で、長い時間をかけて育まれてきた価値観です。
日本にはもう一つ、時間の流れの中で生まれる美しさを尊ぶ ❝侘び寂び❞という美意識があります。新品という一瞬の状態だけを完成とするのではなく、使われ歳月を重ね静かに変化していくことの中に宿る美しさ。

SOUBIは、その考えを 経年美化 という言葉で表現します。

着ることで服が育ち、時間とともに風合いが深まり、価値が静かに増していく。
私たちは、そんな時間と共に美しくなっていく服を作りたいと考えています。
流行のために作られ、短い時間で消費されていく服ではなく、日常の中で使われ続けることで、少しずつ価値が深まっていく服。

それがSOUBIの考える服です。

用の美を、着る。

服作りの始まりは、ある一つの疑念からでした。
大好きで買ったTシャツ。気に入って着て、洗って、また着る。けれどある日、ふと気づきます。襟ぐりがへたっている。まだ生地は着られるのに、襟だけが伸びてしまい、外に着ていくには少し恥ずかしい。仕方なく部屋着になり、そして最後には捨てる。
また新しいTシャツを買う。
また同じことを繰り返す。
そのとき思いました。これは本当に、服として正しい姿なのだろうか。
好きで買った服を数年で捨てる。
また買う。
また捨てる。
その繰り返し。
その当たり前の行為を何度も繰り返している自分に気づいたとき、猛烈に嫌気がさしました。

なら、どうするか

服作りに関わって、もう20年以上になります。自分の技術は決して特別なものではありません。けれど、これまでの経験と積み重ねてきた知識があります。

答えは一つでした。

自分で作るしかない。
襟ぐりがへたらないTシャツ。
技術的にもデザイン的にも、長く着続けることができるTシャツ。それを作るしかない。
そう決めたとき、同時に一つの決断をしました。買い続けることを、やめる。
本当に納得できるものを自分で作る。そのために、自分の拙い技術と経験をすべて絞り尽くそうと決めました。

企画とパターン

東京。

Super Epic Teeの企画はすべて自分自身で行いました。パターン(製図)も同様です。世の中には数えきれないほどのTシャツがあります。
古着も新品も。
様々なブランドのTシャツを見て触って着て研究しました。
そしてパターンを引く。
トワルを縫う。
着る。
直す。
またトワルを縫う。
また直す。
その繰り返し。
一度や二度ではありません。
何度も何度も納得がいくまで修正を繰り返しました。
そうしてようやく、自分が本当に着たいと思えるTシャツのパターン(設計図)が完成しました。

生地

岐阜県。

糸から始める服作り。

服を本当に長く着られるものにするには、どこから見直すべきなのか。考え続けて行き着いた答えは、とてもシンプルでした。

糸から作る。

既存の生地を選ぶのではなく、糸の段階から考える。
目指したのは、誰も見たことがないほどハリとコシのある、しっかりとした生地でした。
ただ厚いだけではない。輪郭を保ち、着続けるほどに頼もしさを増していく生地。その思いを持って生地職人のもとへ話を持ち込みました。最初に言われた言葉は

「そんな生地、作ったことないよ。」

そう言って職人さんは笑いました。けれど自分の思いを伝えると、少し表情が変わりました。そして一言。

「面白い。やってみよう。」

そこから試作が始まりました。しかし簡単にいくはずがありません。
糸が切れる。
また繋ぐ。
調整する。
また糸が切れる。
また繋ぐ。
その繰り返し。

何度も。何度も。何度も。

試作と調整を繰り返しました。
そしてついに、誰も見たことがないほどのハリとコシを備えながら、とてもしなやかな、16ozを誇る奇跡の結晶のような生地が生まれました。

それが MEGA WEAVE天竺 です。

生地を完成させるということ

整理加工

愛知県。

しかし、生地は編めば終わりではありません。生地には整理加工という工程があります。生地の風合いを整え、一枚の布として完成させる重要な工程です。しかし16ozという並外れた生地は、ここでも一筋縄ではいきませんでした。想定通りに仕上がらない。

調整する。
また試す。
また調整する。
その繰り返し。
幾度もの試行錯誤と挑戦の末に、ようやく生地は完成しました。

ここまで付き合ってくださったすべての職人の方々には、心より感謝の念に堪えません。

縫製

秋田県。

延反
裁断
縫製
アイロン
仕上げ

現代の日本ではとても珍しいことですが、すべての工程が日本人の手によって繋がれています。さらに今回縫製を担当してくださったのは、国内外ハイブランドを数多く手がける工場の中でもサンプル縫製を担当する精鋭チームでした。後日、工場長からこんな言葉をいただきました。

「針がバリバリ折れて大変でした。」

それでも最後まで縫い上げてくださいました。その仕事に心からの感謝と尊敬を抱いています。

藍染

群馬県。

100年以上続く老舗の藍染職人のもとを訪ねました。最初に言われた言葉は

「こんなに分厚い生地は染まるかなぁ?」

でした。しかし私の思いを汲んでくださり

「やってみよう。」

と挑戦を引き受けてくださいました。
使うのは、天然藍。
一枚一枚、手で染める。

藍に浸す。
絞る。
空気に触れさせる。

この工程を何度も何度も繰り返しながら、16ozという前例のない生地を、確かな技術と心意気で、これ以上ないほど美しく染め上げてくださいました。

完成した藍は、ただの青ではありません。
天然藍ならではの深みと揺らぎを持ち、時間とともに表情を変えていきます。

着るほどに風合いが深まり、色は静かに育っていく。
それはまさに、日本の美意識である 侘び寂び が宿る色です。
この藍もまた、時間とともに美しく育っていきます。

この仕事を引き受け、一枚一枚手で染め上げてくださった、藍染職人の方々の技と心に
深い感謝と敬意を込めて。

神は細部に宿る

東京、下町。

SOUBIのものづくりは、細部に時間をかけています。タグ一枚とっても例外ではありません。東京の下町で長く続ける織りネーム職人と何度も打ち合わせを重ねました。試作と修正を繰り返しながら、ようやく完成した織りネームです。

「良いネームが出来ましたね」

と嬉しいお言葉をいただきました。
小さな布ですが、そこにも職人の技術と魂が宿っています。

このタグを織り上げてくださった、織りネーム職人の方々の仕事に
深い感謝と敬意を抱いています。

着ることで完成していく服

SOUBIの服は、新品が完成ではありません。

着て
洗って
また着る。

その繰り返しの中で、生地は身体に馴染み、締まり、風合いが深まっていきます。
新品の状態が最も美しいわけではありません。時間を重ねることで服は少しずつ完成し、愛着が生まれていきます。

袖の皺
生地の表情
洗いを重ねた質感

それらはすべて、着る人の生活の記録です。使われることで美しくなっていく。それは日本に古くからある用の美という考え方に通じています。

時間と共に美しく育っていく。それがSOUBIの考える 経年美化 です。

服は、着ることで完成していきます。

画像
右 WHITE:新品
左 NATURAL:180回着用+洗濯したものです。

SOUBIという名前

SOUBIという名前にはいくつかの意味が重なっています。

宗哉が感じ作る用の美。
装備すること。
創造する日。

一つ目に、宗哉が作る用の美

実家の家業の影響を受けたことにあります。物心がつく前に、イギリスのヴィクトリア時代の大きなサイドボード、机、椅子、グラス、天井には所狭しと吊るされたランプやエンジェル、食器、アクセサリー、額やリトグラフ、画家をしている父が描いた油彩のヌードが壁一面にある光景が当たり前にある日常の中で多感な時期を過ごした所にあります。その数々の品は平気で100年を超え現在も衰えを知らず、用を全うしています。あまり多くを話さない父との会話で一つだけ今でも鮮明に覚えていることがあります。

「良いものは時間が経っても古くならない、ずっと新しく新鮮だ」

その時は、まだあまり実感できていなかったと思います。しかし骨董屋さんの手伝いをしたり、パタンナーとして数々の服を研究し、良い服、良い物に触れるなかでいつの間にか自分もそう考えるようになり、時間を経ても古くならない、用の美の美しさに魅かれるようになりました。

二つ目に、装備すること

幼少期の私はとにかくRPGゲームが好きで伝説の剣や盾、防具を装備するという事を覚えました、現実で新しく洋服を買って着ていく前日の夜はワクワクドキドキして寝付けなかった覚えもあります。そんな私には着用というより装備という言葉がしっくりきます。

三つ目に、創造する日

小さい頃からモノづくりが大好きだった私は空き箱やラップの芯や段ボール、何でも使って毎日のように色々変なものを量産していました。時が経ち、材料が布に変わりセロハンテープがミシンに変わっただけで、今でもやっていることは変わりません。しかし、縫製業をし、パタンナーになり、企画もさせてもらえるようになった時には、洋服業界の抱える様々な問題が鮮明になってきました。
時代の流れがそうさせてきたとは分かっていても、日本のモノづくりの力が音と叫び声をあげてガラガラと崩れていっている今、少しでも日本の技術、産業を盛り上げていきたい思いが沸き上がり、日本で作り、日本に還し廻る。日々創造し、日本を創っていきたいという思いです。
それら三つの思いからSOUBI®と名付けました。

服は人生の特別な日のためだけのものではありません。むしろ人は人生の大半を
何気ない日常の中で生きています。その日常に寄り添う服はとても大切な存在です。
SOUBIの服は毎日の生活の中で自然に手に取り長い時間を共に過ごす服です。

日本各地の職人の技術によって生まれ、生活の中で使われ続け時間とともに価値を深めていく。SOUBIの服はそんな存在でありたいと考えています。

SOUBIの思い

服は本来、長く使われる道具です。もし時間とともに価値が深まる服が作れるのなら。
その服はきっと誰かの人生と共にその役目を全う出来る。そう願っています。

だから私は、このTシャツを作りました。
もう二度と、好きな服を捨てなくていいように。

画像はNATURALを240回着用+洗濯したものです。

SOUBIがしないこと

私たちは
流行のための服を作らない。

私たちは
短い時間で消費される服を作らない。

私たちは
生活の中で使われ続ける服を作る。

私たちは
日本各地の職人の技術を尊重する。

私たちは
細部を軽視しない。

私たちは
時間によって価値が深まる服を作る。

そして何より

好きな服を捨てなくていい世界を作りたい。

  

この無謀な挑戦に笑って関わってくださったすべての職人の皆さまへ

心より深い感謝を込めて。

この一着を手に取ってくださるお客様へ。

糸から始まったこの物語は、日本各地の職人たちの手を渡り、長い時間と、数えきれない試作と調整を経て、ようやくここまで辿り着きました。

けれど、この服の物語は、ここで終わるものではありません。

ここから先、袖を通し、着続け、洗い、馴染み、時間を重ねてくださるあなたのもとで、この服はさらに深まり、はじめて本当の意味で完成へと向かっていきます。

作り手と職人たちが繋いできた思いの続きを、受け取ってくださることに。

心より深い敬意と感謝を込めて。

                                                    川澄宗哉           

秋田県の縫製工場にて。